”アイルランド”が足りない

アイルランドは、またしてもプレーオフで敗れて、2018年のサッカーW杯に出場することは叶わなかった。

2002年の日韓W杯で、ロイ・キーンが大会直前にチームを去る事件がありながらベスト16に進出したアイルランド。スペインにPK戦で敗れたものの、「勇敢な敗者」と評される戦いぶりで好印象を抱いていた。

今回もひそかに期待していたのだが、デンマークと比べるとタレントがいないことを露呈するプレーオフの結果になってしまった。

 

2017 Autumn International Series Ireland v South Africa Nov 11th : ニュース写真

タレント揃いだった2002年の代表

2002年のアイルランド代表のメンバーを改めて振り返ってみよう。ロイ・キーン抜きでもなかなかのタレント揃いである。

GKには、全盛期のシェイ・ギブン。CBを元リバプールのストーントンとウィンブルドンのカニンガムが固めて、サイドバックが当時”イケイケ”だったリーズのハートとケリー。中盤には、イプスウィッチの躍進を支えたホランドに、これまたチャールトンの躍進を支えたキンセラ。左サイドには、ブラックバーンで売り出し中だったダミアン・ダフがいて、右サイドが元リバプールのジェイソン・マカティア。ツートップは、ナイアル・クインとロビー・キーンの凸凹コンビ。

オランダとポルトガルと同組だったW杯予選を勝ち抜いたのも納得できる、充実した陣容だったのである。

一晩中歌い続けたアイルランドファン

アイルランドには歌と酒が欠かせない。それを物語る印象的なエピソードがある。W杯の実況をされていた倉敷さんが、たまたまアイルランドのファンの隣の部屋に泊まってしまったときのことである。アイルランドのファンが酒を飲んで大声で一晩中歌い続けたために、倉敷さんは寝かせてもらえなかったそうである。それだけでも驚きだが、彼らは一晩中歌い続けてもネタが尽きないほど歌のレパートリーが豊富だったというから驚きである。

最後のワンピースになれなかったロビー・キーン

 

Republic of Ireland v Bosnia and Herzegovina - UEFA EURO 2016 Qualifier: Play-Off Second Leg : ニュース写真

2002年のW杯、トッテナムで活躍して2008年にリバプールへと移籍したロビー・キーンは、リバプールに足りなかった”最後のワンピース”だと言われた。選手としての能力だけでなく、ロビー・キーンのバックグラウンドも相まって、”最後のワンピース”という期待のされ方をしたのではないかと思う。ロビー・キーンが活躍して、アイルランドの熱心なファンの歌声がアンフィールドを活気づける、そういう思いが”最後のワンピース”という言葉に込められていたのではないか。

”アイルランド”が足りない

”アイルランド”の歌声に魅了されてしまった身としては、”アイルランド”の歌声が聞こえないスタジアムが気の抜けたビールのように感じてしまう。

またどこかで”アイルランド”の歌声が鳴り響くスタジアムに出会えるといいのだけれど。できれば、今度はアンフィールドで!!